飛行機のチケットの値段は、一般的に早く買えば買うほど安くなり、出発当日に買うと高くなります。今回身内の不幸により急遽飛行機で帰省しなければならなくなりました。今まで僕は旅割などの事前に購入する割引運賃しか購入したことがなく、急に飛行機に乗らなくてはならない事態になったことがありませんでした。慌てて検索して飛行機代の高さにちょっとびっくりしてしまいました。急に飛行機に乗らなくてはならない時になるべく安くするにはどうすればいいのか、子供の飛行機代が運賃によって扱いが違うことを身をもって経験したのでまとめてみたいと思います。今回はANAの場合です。
前日時点で購入可能な運賃
今回は訃報を受けて次の日の夕方までに実家に到着する必要がありましたので次の日の便を検索してみました。
帰省に用いるのは「大阪→鹿児島」になります。
購入可能な運賃は
片道運賃:30000円
往復運賃:27400円
ビジネスきっぷ:22950円
特割:19000円
身体障がい者割引運賃:17650円
株主優待割引:15000円
介護割引:19200円
一番安いのは株主優待割引となりました
当日に購入可能な運賃
ちなみにどうしても当日中に飛ばなくてはいけない場合はどうなるかもチェックしてみました
片道運賃:30000円
往復運賃:27400円
ビジネスきっぷ:22950円
身体障がい者割引運賃:17650円
株主優待割引:15000円
介護割引:19200円
スマートシニア空割:15200円
スマートU25:12000円
やはり当日の場合でも一番安いのは一般的には株主優待割引ということになります
25歳以下の場合は「スマートU25」という選択肢もあります
前日・当日に購入可能なそれぞれの運賃の特徴
では上記に出てきた運賃の特徴についてみてみましょう。
片道運賃
定価の航空券ということになります。値段が高い分、変更や払い戻しの自由度は高いです。また満3~11歳の小児は「片道運賃の約50%割引相当額」(要するに約半額)となります。
路線ごとに運賃が決められています。例えば2018年3月25日~10月27日は以下の通りです。
往復運賃
満12歳以上が、航空券の有効期間(発行日および発行日の翌日から起算して90日間)内に、同一区間を単純往復する場合に利用できる運賃になります。当たり前ですが往復セットでしか購入できず、片道搭乗後に払い戻す場合、搭乗済み区間には片道運賃が適用されます。割引率は10%程度と低いですが、提供される座席数に制限がありませんし、予約変更も可能で、片道運賃とほぼ変わらない自由度があります。
ビジネスきっぷ
ANAカード(クレジット機能付き)会員が、同一路線を2回(往復利用、同一方向2回のいずれも可能)搭乗する場合に利用できる運賃です。
つまり利用条件としては
航空会社のクレジットカードの会員であること
決済は航空会社のカードで行うこと
同じ路線で2枚組での販売
となります。「ビジネスきっぷ」は、変更や払い戻しについては普通運賃とほぼ同じで柔軟性のあるチケットですが、割引率は往復運賃よりやや高い程度で、「特便割引」や「旅割」といった割引運賃と比べると見劣りします。昔あった回数券みたいなものでしょうか。
特割
特割の中でも前日まで購入可能なのは「特割1」のみになります。こちらは「満3歳以上」が利用可能です。
「特割」は便ごとの空席予測数に連動して運賃が変動します。また以下のように「特割3」「特割1」は設定がない路線があります。
■東京(羽田) - 札幌(千歳)/富山/小松/能登/福岡/北九州/佐賀/大分/熊本/長崎/宮崎/鹿児島/沖縄(那覇)
■大阪(伊丹) - 松山
■名古屋(中部) - 福岡
■仙台 - 小松
■沖縄(那覇) - 宮古/石垣②「特割1」のみ設定路線
■東京(羽田) - 秋田/庄内/名古屋(中部)/大阪(伊丹・関西・神戸)/岡山/広島/岩国/山口宇部/高松
■大阪(伊丹・関西) - 福岡
■大阪(伊丹) - 熊本/鹿児島
■福岡 - 宮崎
■札幌(千歳) - 女満別/釧路/函館③「特割3」のみ設定路線
■上記①②以外の路線
大阪⇔宮崎の方が運賃が安いので宮崎空港の利用も検討しましたが、前日に価格をチェックしたところ大阪⇔宮崎には「特割1」の設定はありませんでした。
株主優待割引
株主優待割引は、株主優待券を持っている人の航空運賃が約半額になるという制度です。JAL、ANA、エアドゥ、ソラシドエア、スターフライヤーで同様の制度があります。
株主優待券はその名の通り株主に配布されるものですが、金券ショップなどで販売されているように流動性が高く、誰でも入手できますし、株主でなくても誰でも利用できます。
当たり前ですが株主になるか、金券ショップなどで購入する必要があり株主優待券を入手する費用はかかります。
以下の運賃については該当しませんので利用できませんが簡単に紹介しておきます。
スマートシニア空割
満65歳以上のANAマイレージクラブ会員またはANAカード会員のみが利用できる当日のみ購入可能な運賃。空席待ちは不可能。
スマートU25
満12歳以上25歳以下のANAマイレージクラブ会員またはANAカード会員のみが利用できる当日のみ購入可能な運賃。空席待ちは不可能。
身体障がい者割引運賃
割引対象者本人と、一部の介護人が利用可能。ご利用割引適用に必要な手帳または「身体障害者手帳確認登録」済みのANAマイレージクラブカードが必要。
介護割引
満12歳以上で要介護または要支援認定された方の「二親等以内の親族の方」と「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」ならびに「子の配偶者の父母」に限り利用可能。「介護割引情報登録」が済んでいるANAマイレージクラブカードが必要。
直前に購入可能で子連れの場合に利用できる運賃は?
往復運賃は「12歳以上」、ビジネスきっぷは「ANAカード(クレジット機能付き)会員本人」という条件から子供は利用できません。つまり3~11歳の子供が前日に購入できる利用可能な運賃は「片道運賃」「特割1」「株主優待割引」ということになります。
子連れの場合で特割1と株主優待割引を比べてみる
「特割1」の子供料金
「特割1」については満3~11歳の子供の場合は以下の規則が適応されます。
満3~11歳のお客様で「特割1」が選択された場合に、その運賃額よりも当該便における「小児運賃額(片道運賃の約50%相当額)」の方が安価な場合、「特割・旅割(小児額適用)」を自動適用いたします。
つまり「片道運賃の半額<特割1の値段」の場合は片道運賃の半額である小児運賃を適応してくれるというわけです。ですから今回の場合は
片道運賃(30000円)の半額=15000円 < 特割1=19000円
ですので子供の運賃は15000円となります。
「株主優待割引」の子供料金
株主優待割引は満3~11歳には「小児株主優待割引運賃」が適応されます。
2018年3月25日~10月27日は以下の通りですが大人の「株主優待割引運賃」のさらに約半額になります。
株主優待割引が片道運賃の半額、小児株主優待割引は大人の株主優待割引のさらに半額となるわけです。
つまり「小児株主優待割引運賃」は片道運賃の約四分の一の価格となります。
大人2名子供1名で料金を比較
今回は私と家内、長女の3名に運賃が発生します。次女は2歳なので膝上なら無料です。ですからかかる運賃は以下の通りになります。
「特割1」
19000円×大人2名+15000円×子供1名=53000円
往復106000円
「株主優待割引」
15000円×大人2名+7500円×子供1名=37500円
往復75000円
株主優待券の入手費用を考慮しても圧倒的に株主優待割引が安く済むことが分かりました。最初慌てていて特割しか見ておらず、緊急時なので仕方ないと思わず購入しかけましたが、冷静になれてよかったです。
株主優待券の入手方法
いろいろな方法がありますが、信頼度の高いものから順番に挙げていきましょう
株主になる
当たり前ですがANAの株主になるのが最も確実な入手方法です。
毎年3月31日と9月30日の基準日までに株主名簿に記載されるようにその3営業日前までにANAの株式を必要分購入してください。もちろん今回のような緊急時には間に合いません…
金券ショップで購入する
ANAの株主優待券は1枚あたり4000円程度で金券ショップで購入することが可能です。JALは6000-7000円とANAよりかなり高く取引されています。下にも述べますが時期や優待券の期限により値段の変動があります。
株主優待番号インターネット販売
いろいろ検索していると「株主優待番号販売センター」というサイトを見つけました。株主優待券そのものが送られてくるわけではなく、申し込んでから数分で株主優待割引購入に必要な株主優待券の情報がメールで送られてくるようです。一見信用して大丈夫かなと思いましたが金券ショップが運営しているようです。
僕は利用したことがないので強くオススメできるものではありませんし、金券ショップより割高ですが、近くに金券ショップがない場合やとても急いでいて金券ショップに寄る時間がない時は利用する価値がありそうです。
ヤフオクで購入する
ヤフオクやメルカリ(メルカリでは出品禁止になったと教えて頂きました…以前の情報で書いてしまい申し訳ありませんでした)でも株主優待券を手に入れることができます。中には以下のように落札してすぐに株主優待割引を購入するのに必要な情報を通知してくれる出品者もいます。特に今回は時期的に有効期限が近い株主優待券が出回っていましたので1枚平均1800円程度とかなり格安で手に入れることができました。
ヤフオクやメルカリは個人なのでいろいろな人がいるでしょうし、今回みたいな急な場合はギャンブルかもしれません。株主優待券が金券ショップで購入するよりもかなり安くなっていたので僕はヤフオクを利用しましたが、確実性を求める場合は金券ショップを利用されるのがいいかと思います。僕も万が一うまくいかなかった場合は金券ショップに駆け込む覚悟で取引をしました。
株主優待券について知っておくべきこと
ANAの株主優待券は以下のように年に2回発送されます。そして株主優待券の有効期限は1年間です。
・株主優待券が発送されるのは5月中旬と11月中旬の年に2回
・株主優待券が利用できるのは発行後1年間
したがって利用期間日数が残り少ない株主優待券は市場価格が下がっていく傾向にあります。特に有効期限が長い新しい株主優待券が発送されると、期間の短い株主優待券は値崩れします。
今回僕はたまたま5月下旬に株主優待券を至急手に入れたい事態となったため、有効期限があと1週間をきった値崩れした株主優待券を手に入れることができラッキーでした。
特典航空券は?今後は当日でも使えるように!
現在はANAの特典航空券は「搭乗日4日前まで」しか新規に予約できませんので利用できませんでした。しかし2018年10月28日搭乗分より特典航空券の予約期間が拡大し「搭乗日前日まで」新規に予約可能になりますので今回のような急な場合でも空席があれば特典航空券を発券できるようになります。とてもありがたいですね!
またJALを利用する場合にはブリティッシュエアウェイズ(BA)のマイルを貯めていれば当日でも特典航空券を発券することが可能です。今回のような時のためにBAマイルも貯めておけばよかったと思いました。
まとめ:急に飛行機に乗る時は現状では株主優待割引がベスト!
今回の私のように急用で急に飛行機に乗らなくてはならない場合には現状では株主優待割引がベストと思います。株主優待券は先ほど述べましたように比較的すぐに簡単に手に入れることが可能です。さらに子連れの場合には株主優待割引は特割と比較してさらに価格面で優位性があることが今回分かりました。何度もこんなことがあっては困るのですが今回の出来事は私にとっては飛行機の運賃について勉強するよい機会になりました。