北海道一のお寿司屋さんと言われている「鮨一幸」に幸運にもお誘い頂き訪れる機会を頂きましたのでつまみや握りなどおまかせコースの内容をご紹介します。
鮨一幸とは?
住所:北海道 札幌市中央区 南2条西5-31-4 スカレッタビル 2F
電話:011-200-1144
定休日:水曜・祝日・不定休
席数:7席
鮨一幸の特徴
お店の内部の様子
お店はビルの2階で思っていたより狭くカウンター7席のみでこじんまりとしています。しかしながら後で気付くのですが食べ始めると目の前で行われる作業や口の中で広がる味覚に集中してしまい、全くお店の狭さなんてどうでもよくなります。
全国から集めた一流の食材の旨みを引き出した寿司
北海道の寿司屋とは個人的にいい意味で北海道の新鮮な地の魚介類のフレッシュさを楽しむお店というイメージです。これを「蝦夷前」と呼んだりするそうです。しかし、このお店は全国から集めた一流の食材の旨みを引き出した江戸前寿司を味わうお寿司屋さんです。
超絶予約困難店
18:00~、20:30~の二部制となっています。7席のお店ですので1日に14名しか訪れることができません。人気店となった今では全国からこちらのお寿司を味わいたいと来られる方が多く予約は極めて困難です。今回は常連の方にお誘いいただき初めて訪問することができました!あまり一流のお寿司屋さんに通い慣れていない私が一幸さんの感想を常連さんにお見せするのは恥ずかしい限りですが、宿題代わりに感想をブログに書かせて頂きます(^^;)
鮨一幸のコースをご紹介
25000円のおまかせコースのみとなっています
つまみ
尼手鰈の造り(明石)
見た目は極めてシンプルな一品。
歯ごたえがある身は噛めば噛むほど旨みや甘味が出てきます。この後の品にも感じたことですが口の中でかみしめるほど味が変わり、味の変化が楽しめる品が多く、尼手鰈の厚さや硬さも計算されているのかと思いました。肝が巻かれたものは酒が進みます。エンガワもコリコリで美味い!
蒸鮑
噂に聞いていた蒸し鮑!
器から出されると見た目のインパクトももちろん香りがふわっと漂い期待が高まります。独特の切り方ですね
僕は鮑は厚めのものが好みなので薄いなぁと思いました。しかし、風味と香りがよく、薄いですが程よい歯ごたえで噛めば噛むほど旨みがにじみ出てきて飲み込みたくないくらい(笑)肝も美味い!
戻り鰹(三陸)海苔ソース
炙られてパリッパリになった皮とねっとりとした身が最高です。しかしこんなパリパリの皮の鰹食べたことないです
鮟肝(噴火湾)
鮟肝も目の前でカットして提供され、期待が高まります。お皿も鮟肝に合っていて素敵です!
まさに「大人のプリン」!滑らかな食感で舌の上でとろけて甘みを感じ濃厚な旨みがやってきます。こんな鮟肝は食べたことがないです。このようなとろっとろの鮟肝になるのは三分の一しかないとのことでとっても貴重ですね。酒が進みます!堪らず日本酒を投入(笑)
みむろ杉(奈良・今西酒造)
赤雲丹(福井・小浜)
甘みというよりは旨みが強く、そしてほのかな苦みも感じられます。
握り
赤酢全盛の最近では珍しくなった米酢オンリーのシャリで酢は優しめで甘味を感じます。米粒感はあるもののどちらかというと柔らかめです。煮きりの器が花瓶みたいで独特で素敵です
春子
こんなフワフワな春子食べたことがなく驚きます。目隠しして食べたら春子と分からないのでは…包丁の入れ方が僕が今まで食べた春子とは違うためなのでしょうか。
ここで目の前にマグロが登場!
新烏賊
程よい硬さでねっとりしており噛めば噛むほど甘味が出てきます。げそはさっとゆでられて提供されます。ふんわり柔らかな甘味が塩で引き立ちます。
金目鯛
皮目が適度に炙られており甘味を感じます
ここで目の前に中トロ、大トロと松茸が!テンションが高まってきます!
松茸の香りがすごい!
もう五感で楽しめます!
中トロ(三厩)
きめ細やかでしっとりと美味しいです。この時期のマグロとしては素晴らしく美味しいのだと同行の方から教えて頂きました。
大トロ
サシが目立ちますが全くくどくなく上質な脂ですっと溶けます
日本酒が加速します!
田中六五(福岡・白糸酒造)
蝦夷馬糞雲丹
先ほどの雲丹と違い甘味が強く濃厚でとろけます
太刀魚小丼
箸で崩しながら頂きます。パリパリの皮にフワフワの身。脂もよく乗っており美味しいです。
鯵
みずみずしい鯵とシャリの間にはあさつきが潜んでおり太刀魚の脂がすっきりと流されます。鯵の美味しさが引き立ちます。
とろ松
そしていよいよ松茸の登場です!丁寧にほぐした松茸の下に本鮪大トロの炙りを挟んで握られたスペシャリテ!これを楽しみに一幸を毎年訪れる方もいらっしゃるとのことで初訪問で頂くことができてラッキーです。
これも目隠しして食べると大トロが入っているとは思わないんじゃないでしょうか。大トロって寿司では主役となるのが常ですがまさに脇役となり、松茸の香り、旨味、食感を引き立てる役割となっているようです。まず口に入れると松茸の香りが鼻に抜け、その旨味と食感を噛みしめて楽しんでいると大トロの脂が出てきて潤滑油のようにシャリと松茸をまとめる。いつまでも噛んでいたい幸せな一品です。誤解を恐れず言えば「エリンギバター炒め」を極限まで上質にしたものですかね。エリンギのコリコリした食感を楽しみ噛んでいると、バターの脂が旨みを引き立てるような(笑)
鰤
見たことないような薄切りの鰤が出てきて驚きました!
口の中でとろけます!
穴子
穴子もフワフワ美味しいです。最後にバターのような不思議な後味を感じたのはなぜなのでしょうか。
玉子
外はフワフワ、中心に向かうにつれトロトロになっており美味しいです
お会計は?
おまかせコースにビール1杯、日本酒1合+半合で29000円でした
感想
あまり高いお寿司屋さんに行ったことがない素人の意見です…異論は多々あると思いますが…ダメ出しはお会いした時にこっそりお聞かせ頂きお寿司の勉強させてください(^^;)
シンプルに素材の旨みを引き出す
一流の食材のポテンシャルを引き出す調理法を工夫されているのが伝わりました。一見シンプルに見えるものも口に入れるとおぉとなるものが多かったです。以前お寿司屋さんによく通っておられるTwitterのフォロワーさんと大阪の某お寿司屋さんで尼手鰈を食べた時に僕は美味しいなと感じたのですが、「一幸さんのを食べると全然だなぁ」とおっしゃっていた意味が分かった気がします。
コースの流れが計算されている
僕が社会人になってから初めて回転寿司以外のお寿司屋さんに行き、しばらく通った下町のお寿司屋さんの大将は「うちで一番柔らかいやつと硬いやつ!」と言ってセットでお寿司を出されます。春子→烏賊、太刀魚小丼→鯵の流れでそのお寿司屋さんと同様に食感の対比が分かりやすいコースの流れを作っておられるのだと感じました。素人の私が気付いたのはこの2つの流れだけですが、コースの後半に向けてだんだんの周りのお客さんのテンションが高まっていくのは感じられました。また、上述したように口の中で噛んでいるうちに食感や味の変化を楽しめるものも多く、余韻がすごかったです。
無粋を承知で「すし宮川」さんと比較すると…
僕は札幌ではこの2店しか行っていませんが、札幌の人気店トップ2と聞きますので無粋を承知で特徴を比べさせて頂きます。すし宮川さんに訪問した時の様子は以下をご覧ください
一言で表すならば一幸さんは男性的で外科医っぽい、宮川さんは女性的で内科医っぽい感じですかね(笑)
鮨一幸の工藤さんは素人の私から見てもすごくこだわりを持っておられるのが伝わりますし、その自信をいい意味で隠そうとしておられません。そして食べている間も周りが感覚を研ぎ澄まして次は何をするのか注目するようないい意味での緊張感がありました。カウンター全員が同じ方向を向いておりショーに見入っているような、凄腕の外科の先生の手術に入った時と似た感じで周りが一挙手一投足に注目しているような感じです(あくまで私は内科医であり手術にはそんなに入ったことはありませんw)。手術についてこだわりがあり自分の腕に自信を持っていてそれを隠そうとしない凄腕の外科医のイメージで、とてもオーラを感じました。もちろん食後にお話しするとざっくばらんにニコニコとお話ししてくださいましたので決して怖いとかとっつきにくいとかそんなことはありません。そして食材についていろんなことを教えて下さいましたし知識がすごいなぁと。
それに対してすし宮川の宮川さんはお寿司もつまみも細やかで女性的、食べている間もちょくちょくお客さんと話をされながらお店全体に穏やかな雰囲気が漂っているというイメージです。物腰柔らかで内に秘めておられ控えめな内科医のイメージです。
(注)繰り返しますがあくまで個人のイメージです
一幸さんの鮟肝と鮑はとってもすごかったですが個人的にはつまみは宮川さんの割烹のような手の込んだものが好みです。握りは一幸さんのものは圧倒されました。シンプルにお寿司という面では一幸さんの完成度はすごいと思いました。決して安くはないし、つまみと寿司のコースの量としては少し物足りないくらいですが、このレベルのお寿司を頂けるのであればコストパフォーマンスは素晴らしいと思いました。「季節に1回は通いたい」と言っておられた方の気持ちが分かりました!ただ僕は札幌にはそんなに通えません(笑)
お誘いいただきありがとうございました!この場を借りて厚く御礼申し上げます。とても美味しく未だに余韻に浸っております。また機会があれば再訪したいと思いますのでよろしくお願いします。