マリオットは無料宿泊の必要ポイント変動制導入を発表しましたが、IHGなど他のホテルグループでも導入後は人気ホテルは必要ポイントが増加するケースが多く、実質改悪と言えるでしょう。マリオットがステータス延長、無料宿泊特典の延長、スイートナイトアワードの延長、そして無料宿泊の必要ポイント変動制導入などを発表したのでまとめました。
目次
マリオットのエリートステータスが2023年2月まで延長
他のホテルチェーンではエリートステータス延長の措置が2022年も行われることが発表されています。例えばヒルトンはステータス延長・2022年上級会員資格緩和を既に発表しています。
マリオットもようやくエリートステータス延長を発表しました。
2019年、2020年に獲得した会員ステータスの期限が2022年2月から2023年2月まで延長
2021年に取得したステータスについては、これまで通り2023年2月までが期限
We are extending Members’ current Elite status through February 2023, whether earned in 2019 or 2020. Members who earned status in 2021 are already enjoying their status through February 2023.
*For 2021, we reduced the $20,000 USD spend threshold for attaining Marriott Bonvoy Ambassador Elite status to $14,000 USD. Beginning on January 1, 2022, it will return to $20,000 USD, and the 100 annual qualifying night requirement will remain in place.
2021年時点のエリートステータスを2023年2月まで延長します。2019年または2020年にステータスを獲得したかどうかにかかわらず適用され、シルバー、ゴールド、プラチナ、チタン、アンバサダーのすべてのエリートレベルに適用されます。延長された1年間のステータスは、Marriott Bonvoyプログラムのライフタイムステータスにカウントされます。
ステータスの延長は、マリオットのアプリやウェブページのアカウントに、2021年12月までにエリートステータスの有効期限が延長されたことが反映されます。
また、アンバサダーエリートの資格獲得条件は100泊+20,000ドルに戻ります(2021年は100泊+14,000ドルに基準が下げられていました)。
2021年に取得したステータスは現時点で延長なし
2021年に取得したステータスは、従来通りの2023年2月までが期限となります。つまり、現時点では残念ながら特に恩恵を受けることはできません。
今年初めには宿泊数の下駄があり(プラチナだと25泊)、ダブルカウントキャンペーンがありました。
私もそうですが、キャンペーンに乗っかって、早々にプラチナ、チタンまで到達した方も多いでしょうから残念なお知らせですね…
ま、コロナの影響がここまで世界的に続くとは思っていませんでしたし、早々にステータス延長を発表しちゃうとステータス防衛を考えていた人が泊まらなくなりますからね。プラチナ防衛でなくチタンになりましたし、ホテル泊まるのは楽しかったので個人的には全く後悔はしておりません!ヒルトンの延長が悔しかったのは同じダイヤモンドステータスの延長だったからかな(笑)
2022年は宿泊実績に下駄を履かせてくれる可能性は低くなった?
今回、エリートステータスの期限延長があったことで、2022年は2021年のように会員ステータスに応じた宿泊実績ボーナス付与の可能性は低くなったのかもしれません。2021年のように2022年最初にゲタを履かせてもらえれば私はプラチナやチタンの維持も考えようと思いますが、今回の期限延長で上級会員数もかなり多くなったでしょうし、おそらくないでしょうね…個人的には2022年はあればラッキーくらいの気持ちでいます。
スイートナイトアワード(SNA)の期限延長
We have extended the expiration of Suite Night Awards (SNAs) previously set to expire on December 31, 2021 to June 30, 2022.
2019~2020年に取得したスイートナイトアワード(SNA)については2021年12月31日に有効期限が設定されていましたが、有効期限が2022年6月30日まで延長されます。
2021年に取得したSNAの期限は特に変わらず2022年12月31日までのままです
スイートナイトアワード(SNA)もプラチナ会員以上の増加に伴いなかなか使えず余っている方は多いでしょうからこれは朗報ですね!ま、それでも私はSNAを使いきれる気はしません(^^;)
スイートナイトアワード(SNA)の使い方、日本国内でスイートナイトアワードが使えるホテル、どんな部屋にアップグレードされるかについては以下の記事をご参照下さい。
無料宿泊特典(フリーナイトアワード)の期限延長
Members who currently have a Free Night Award (FNA) with an expiration date between January 3, 2022 and June 29, 2022, as part of their cobrand credit card benefit, annual choice benefit, promotions or travel package will be able to redeem it through June 30, 2022.
Certain hotels have resort fees.
ほとんどの方は、SPGアメックスの更新特典(50,000ポイントまで利用可)や、75泊のチョイス特典で選択可能な無料宿泊券(40,000ポイントまで利用可)として無料宿泊特典をお持ちと思います。2019年、2020年に取得したこれらの無料宿泊特典の期限は、2021年12月31日でしたが、SNAと同様に2022年6月30日まで延長されました。
ポイント有効期限延長
To provide you ample time to redeem points, the expiration of points will be paused until December 31, 2022. At that time, your points will only expire if your account has been inactive for at least 24 months.
マリオットはアカウントが少なくとも24ヶ月間アクティブでない場合にのみポイントが失効します。つまり、24カ月間ポイントの増減がない場合はポイントが失効してしまいます。今回はポイント増減がないアカウントでも自動的に2022年12月31日までポイントが失効することはありません。この記事を見ておられるような方はマリオットをよく利用されておられるでしょうからあまり関係ない話と思われます。
「Top Off」無料宿泊特典とポイントとの合算利用が可能に!
In early 2022, Members will have the opportunity to increase their Free Night Award by adding up to 15,000 additional points, expanding the value of the award and possible options across the portfolio.
無料宿泊特典に最大15,000ポイントを追加して使用可能となる「Top Off」という制度が開始となります。Top offという英語は個人的にはあまり聞き慣れないのですが、「最後に乗せる」とか「最後に付け加える」という意味があるようですね。
例えば、従来は、SPGアメックスの更新で貰える無料宿泊特典は50,000ポイントまで、75泊達成後のチョイス特典でもらえる無料宿泊特典は40,000ポイントまでの宿泊にしか使えませんでした。つまり、これまでは無料宿泊特典のそれぞれに定められた上限を超えて利用することができず、また、差額のポイントを支払ってより高いカテゴリーのホテルに無料宿泊特典を利用して宿泊することができなかったのですが、2022年初めからは無料宿泊特典に最大15,000ポイントを加算して利用できるようになるようです。従って、SPGアメックスの継続特典では65,000ポイント、75泊のチョイス特典では55,000ポイントとワンランク上のホテルに無料宿泊特典を使うことも可能となりそうです。
無料宿泊ポイント変動制の導入
Starting March 2022, hotel categories (1-8) and redemption rates classified as Off-Peak, Peak, or Standard will be replaced with flexible point redemption rates. That means the amount of points needed to redeem a stay will be more flexible and will more closely align with hotel rates — based on availability, seasonality, etc. If you’re traveling somewhere with a lot of availability, you can expect to use fewer points. And if the destination you love is busier during your preferred dates, the redemption amount may increase.
マリオットの無料宿泊は現在はカテゴリー制
2021年時点では、マリオットホテル無料宿泊における必要ポイントは以下の表のようにカテゴリー性となっています。カテゴリー1から8の8段階、またそれぞれにスタンダード、オフピーク、ピークの3種類が存在します。つまり24通りのパターンが存在し、1泊あたり5,000から100,000ポイントが必要となります。
カテゴリー | スタンダード | オフピーク | ピーク |
---|---|---|---|
1 | 7,500 | 5,000 | 10,000 |
2 | 12,500 | 10,000 | 15,000 |
3 | 17,500 | 15,000 | 20,000 |
4 | 25,000 | 20,000 | 30,000 |
5 | 35,000 | 30,000 | 40,000 |
6 | 50,000 | 40,000 | 60,000 |
7 | 60,000 | 50,000 | 70,000 |
8 | 85,000 | 70,000 | 100,000 |
2022年3月からポイント変動制導入!
2022年3月から、このカテゴリー制が廃止され、ポイント宿泊で必要になるポイントは変動制になると発表されました。
ポイント変動制導入で無料宿泊に必要ポイントはどうなるのか?
マリオットは「必要ポイントの範囲は現在と同じ」と言うが…
マリオットは公式サイトのFAQでは以下のように回答しています
Will it now cost me more points to redeem?
While an award night can still be booked the same way it always has been, the redemption rate of an award night is now more flexible. That means when there is more availability at the hotel – during slower periods, for instance – redemption rates may be lower. In general, the range of points required to redeem a stay at a hotel will be the same as they are today.
直訳すると…
特典交換に必要なポイント数は増えますか?
特典宿泊のご予約はこれまでと同じ方法で可能ですが、特典宿泊の交換レートはよりフレキシブルになりました。つまり、ホテルの空室率が高い場合(たとえば繁忙期)には、交換レートが低くなる可能性があります。一般的に、ホテルでの宿泊を交換するために必要なポイントの範囲は、現在と同じです。
「一般的にホテルでの宿泊を交換するための必要ポイントの範囲は現在と同じです」と答えています。
そしてマリオット公式Twitterで例として挙げたホテルではさほど必要ポイントが変動していないように見えます
普通に考えると繁忙期の人気ホテルは必要ポイント増加するでしょうね
一方で、当たり前ですが
That means the amount of points needed to redeem a stay will be more flexible and will more closely align with hotel rates — based on availability, seasonality, etc. If you’re traveling somewhere with a lot of availability, you can expect to use fewer points. And if the destination you love is busier during your preferred dates, the redemption amount may increase.
「つまり、宿泊の交換に必要なポイント数がより柔軟になり、空室状況や季節性などに応じて、ホテルの料金とより密接に連動するようになります。空室の多い場所への旅行であれば、より少ないポイント数でのご利用が期待できます。また、ご希望の旅行先がご希望の日程で混雑している場合は、交換額が増える可能性があります。」
という記載も見られます。
2022年は移行期間で2023年から完全変動制へ移行?
ONE MILE AT A TIMEのMarriott Bonvoy Eliminates Award Charts, Introduces Dynamic Award Pricingという記事に興味深い記載がありました。
Between March 2022 and the end of 2022, award pricing at more than 97% of properties will continue to range between off-peak and peak redemption rates; that means just under 3% of hotels will have redemption rates in a higher range than what they currently are for 2022
「2022年3月から2022年末までの間、97%以上のホテルの特典価格はオフピークとピークの間で推移し、2022年には3%弱のホテルの特典価格が現在よりも高くなります。」
つまり、多くのホテルはマリオットが「必要ポイントの範囲は現在と同じ」と言うようにオフピークとピークの間で推移するものの、2022年中に数%のホテルの特典レートが上がるようです。皆さんが特典で狙うようなカテゴリーが高いホテルについては「現在と同じ」レートではなくなる可能性が高いと個人的には予想します。その理由は後で述べますね。
Starting in 2023, there will be no more limits on award pricing across the board
「2023年からは、すべての特典価格に制限がなくなります。」
また、2022年は移行期間として多くのホテルがオフピークとピークの間でポイント数が推移するのでしょうが、2023年からは制限がなくなるようですので変動幅が大きくなりそうです。
ポイント宿泊するとホテルにはどれくらいマリオットから支払われる?
これまた先ほどご紹介したONE MILE AT A TIMEのMarriott Bonvoy Eliminates Award Charts, Introduces Dynamic Award Pricingという記事に興味深い記載がありました。
For background, it’s probably worth understanding the economics of hotel loyalty programs:
・Marriott doesn’t own a vast majority of properties, but rather just has a management or franchise agreement with them
・When a member redeems Marriott Bonvoy points, the loyalty program pays the hotel some amount for that stay
・The amount reimbursed is dependent on a combination of how full the hotel is, and what the average daily rate is; if a hotel is nowhere close to full, the reimbursement rate is low (just enough to cover the incremental costs of serving that guest), while if a hotel is close to full (think 95%+ occupancy), the hotel is reimbursed at pretty close to the average daily rateIn other words, the most costly redemptions for Marriott Bonvoy are when members redeem at expensive, full hotels, since the program is paying close to full price for that stay on behalf of the member. It seems pretty clear that these award program changes are intended to address that, and to eliminate any overly costly redemptions for Marriott Bonvoy.
Expect hotels that are consistently full with high average daily rates to be the most negatively impacted by these changes.
つまり、会員がポイントを利用した無料宿泊をした場合、マリオットからホテルに稼働率とその日の宿泊料金に応じた額が支払われる仕組みで、マリオットにとっては会員が稼働率が高く高額なホテルに宿泊すると支払額が大きくなるというわけです。つまり、今回のポイント変動制は稼働率が高く、宿泊料金が高いホテルに最も大きな影響を及ぼすと予想されます。
IHGは変動チャート導入後必要ポイントが増加…
IHGでもポイント変動制が導入された後は基本的には必要ポイントが上がっています。
ヒルトンでも変動チャート導入後必要ポイントが増加傾向です。下の画像のコンラッド大阪のように絶対にポイントを使って宿泊しないくらいひどいポイント数が必要となるケースがあります。
ヒルトンのようにポイントで支払う気が失せるようなめちゃくちゃ多いポイントがマリオットには出現しないことを個人的には祈りたいところです…
残念ながら閑散期にあまり人気のないホテルに宿泊する以外は基本的にはマリオットでも無料宿泊に必要なポイント数は今後増加するものと予想されます。
マリオットの公式サイト
今回の発表についてのマリオットの公式サイト、FAQは以下のリンクからどうぞ!
最後に
マリオットがステータス延長、無料宿泊特典の延長、スイートナイトアワードの延長、そして無料宿泊の必要ポイント変動制導入などを発表したのでまとめました。また、今回一番大きな出来事と言える無料宿泊の必要ポイント変動制導入について、今後の動きを他のサイトを参考にして予想してみました。