2018年4月18日伊丹空港(大阪国際空港)中央エリアの商業施設がリニューアルオープンしました。1969年の開業後大規模改修は初めてのことです。今回のリニューアルは「先行リニューアルオープン」という位置づけでまだまだ現在でも伊丹空港のリニューアル工事は続いています。今後どのように改修が進んでいくのか、リニューアル後はどんな伊丹空港に生まれ変わるのでしょうか?2014年9月に発表された大阪国際空港(伊丹空港)ターミナル改修プロジェクト「Speedy&Smart 都市型先進空港 ITM」の資料、現在公表されている改修スケジュールを元に今後伊丹空港がどのように変化していくのかをまとめました。
目次
改修プロジェクトのコンセプトは「Speedy & Smart 都市型先進空港 ITM 」
この改修プロジェクトは、伊丹空港のターミナルビルが大阪万博開幕を控えた1969年にオープンして以来の大規模改修であり、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて万全の態勢を整えることを目指しているとのことです。
「Speedy」「Space」「Shopping」「Sustainable」「Safety」の5つの「S」がキーワードとなっているようです。
それではそれぞれの改修計画について現在までの状況、今後の予定についてチェックしていきます
スピーディーでスムーズな移動(ビジネスユースへの対応強化)
出発動線
改修前の出発動線には以下のような問題がありました
そこで今回および今後の改修では以下の点について改善を目指しているようです。
モノレール駅からは新しいペデストリアンデッキにより、2階保安検査場まで階層移動なく直行可能(済)
今まではモノレールで到着すると一度1階に降りてから出発ターミナルビルに移動して、さらに2階に上がって保安検査場に向かう必要がありました。
今回のリニューアルでは出発時にいちいち1階に降りることなく保安検査場に向かうことが可能になりました。同じ階と言ってもANA側は小さな階段を上がる必要がありますが…
バス降り場は出発ターミナルビルの前に配置し、チェックインカウンターや保安検査場までの移動はよりスピーディーに(済)
リニューアル前まではリムジンバスでの到着時は降り場が中央の1か所、出発時は乗り場が南ターミナル(ANA)と北ターミナル(JAL)の2か所でした。
今回のリニューアルにより到着時は南ターミナルと北ターミナルの2か所に停車することになり出発時にリムジンバスで到着した時の移動距離が短くなりました。
駐車場との間の横断歩道にはルーフを設置し、雨の日もぬれずに移動可能に(対応未)
駐車場をよく使う私としては早く対応してほしいのですが今回のリニューアルではこちらは対応されていません。また、今後の計画をみても載っていないことより横断歩道ルーフ新設については見送りになった可能性もあります。
セキュリティーチェックや出発手続きは、インラインスクリーニングシステムの導入でよりスムーズに。セルフバゲージドロップ導入等も検討(対応未)
こちらについても今後の改修で改善される予定となっています。セルフバゲージドロップについては羽田空港にはすでに導入されていますので時間の問題でしょうか
保安検査場は拡張により待ち時間を短縮し、よりスムーズな通過が可能に(一部済)
こちらについてはスマートレーンが試験導入中になっています。スマートレーンとは日本の国内線ターミナルでは初導入となる最新鋭の保安検査機になります。
スマートレーンについては以下の公式ホームページをご参照ください。
2017年の試験導入時にはニュースになっておりスマートレーンについての動画もニュース内で紹介されています
20年夏の全面導入に先立ち南北ターミナルにそれぞれ2台ずつ試験的に設置されています。長さ13.7メートルと従来のレーン(7メートル)より長く、一度に3人が手荷物検査を受けられるため、これまでより混雑を緩和し、スムーズに手荷物検査を終えることができ、待ち時間を約3割減らせる(混雑時の待ち時間を20分から約13分に短縮)という利点があります。
搭乗口まではムービングサイドウォークの設置で、よりスムーズな移動が可能に(一部済)
今回のリニューアルで中央到着口に向かう動線にムービングウォークが増えましたが、これからもどんどん増えていくようです!
小型機対応フィンガーの新設により、MRJ等の小型機にも搭乗橋でスムーズに乗降可能に(一部済)
ANAで5-8番ゲートに向かう時に気付かれると思いますが新しくフィンガーが新設されています。
下の図の赤丸に囲んだ部分が新設されたフィンガーです。①のフィンガーがANAに乗る時に使う5-8番ゲートがあるフィンガーになります。
こちらの新設されたフィンガーはMRJなどの小型機に対応したフィンガーになり、バスを使わずボーディングブリッジで小型機に搭乗できるようになったようです。
到着動線
改修前の出発動線には以下のような問題がありました
そこで今回および今後の改修では以下の点について改善を目指しているようです。
到着口は中央2階に集約し、新しいペデストリアンデッキにより各交通機関にダイレクトに接続。次の目的地に向けてスピーディーな出発が可能に(済)
今回のリニューアルにより1階の南北に分散していた到着口を2階中央に集め、モノレール駅との移動がしやすくなりました。中央の到着口を出てまっすぐ進むとモノレール駅にアクセスできるようになりました。
到着ロビーではIT・デジタルサイネージにより交通情報を提供し、利用者の各交通機関の選択を的確にサポート(済)
この写真のようにバス・モノレールの出発時間、遅延の有無、道路の渋滞状況などが一目でわかるようになりました。渋滞がひどければバスを避けるなど交通機関の選択に重要な情報が一元化されており便利です。
快適・便利な空間(もっと快適に使いやすく)
今回のリニューアルでは伊丹空港らしからぬとってもきれいな明るく開放的な空間に生まれ変わりました!
新しい到着ロビー(3階まで吹き抜け)を開設(中央2階)(済)
下の写真のように到着口を出ると3階まで吹き抜けの明るい到着ロビーに出ます
到着口を見下ろせるロビースペース、カードラウンジ、ビジネスサポートセンターも備えた空間を新設(中央3階)(済)
3階にはロビースペースと言っていますがDEAN&DELUCA CAFEの座席も兼ねているようです
またカードラウンジ「ラウンジオーサカ」はこちらの3階に移動してリニューアルオープンしています
ビジネスサポートセンターは見当たらないなぁと思っていたら、ラウンジオーサカは貸会議室とともに「ビジネスサポートラウンジ」という位置づけのようですのでこれで対応済ということになるのでしょうか?
ゲートラウンジは全面リニューアルし、段差の解消や点字・多言語の案内標識の整備を実施(ユニバーサルデザイン対応)(一部済)
ゲートラウンジは順次リニューアル予定のようで現在は10番ゲートがクローズとなり改修中です。現状では13番ゲート前だけ下の写真のようにやたらキレイになっていてここだけ伊丹空港でないような空間で浮いています(笑)他のゲートもこんなにオシャレになるのでしょうか?
全館Wi-Fiの導入で、ターミナル内どこでもインターネット利用可能に(済)
無料Wi-Fi利用が可能となっています。普通のネットサーフィンくらいであればストレスなく利用できる印象です。詳細につきましては以下の公式ページをご参照ください
魅力的な店舗展開(食べて買って楽しめる空港へ)
大阪・関西の活気あふれる2つのテーマゾーン(飲食・物販)の展開(中央2階到着ロビーの両サイド)(済)
これは最初の計画の段階では「うまいもんゲート」という関西名物を食べられるフードコートのようなイラストが載っていますので、途中で計画が変更したものと思われます。しかしながら以前の伊丹空港とは比較にならないほど飲食・物販の店舗が充実したと思います。リニューアル部の全店舗の紹介については以下の記事をご参照ください。
飛行機に乗りに行くだけでなく、乗らない時にでも行ってみたい店舗が増えたように感じます。
ゆったり過ごせるダイニングスペースの展開(中央3階)(済)
3階にはゆっくりと食事ができる飲食店が増えましたね!先ほどご紹介したリニューアル部の店舗紹介でも紹介していますがこちらの記事もご参照ください。
選びやすく買いやすいお土産店、カフェ、コンビニ、個性ある物販飲食店舗の展開(出発エリア)(未対応)
搭乗前のひと時を快適・便利に過ごせる店舗の展開(ゲートラウンジ)(未対応)
現在もゲート近くにはたこ焼きやカレーを食べられたり、本を買ったりできますが他の空港に比べると伊丹空港の制限エリア内は時間をつぶせるお店が少ないと感じます。ゆったりと時間を過ごせるカフェなど制限エリア内の店舗が充実すればいいなぁと思います。計画では制限エリア内の店舗面積を従来の約4.5倍に拡大する予定とのことです。
2020年7月に伊丹空港改修プロジェクトグランドオープンとなり新たにできる店舗が発表されています!
環境・地域との共生(さらに環境と地域にやさしい空港へ)
雨水の中水利用、照明のLED化、空調の高効率化(一部済?)
飛行機が間近に見える屋上展望デッキを拡張(済)
今回のリニューアルでは屋上の展望デッキの面積を1・5倍に拡張し、これまでより滑走路側へデッキが広がりました!
地域の人も楽しめるイベントにも利用可能なスペース(中央3階)(未対応?)
これについては今後対応していくのでしょうか?現在具体的な情報がなくなっておりこちらの計画は中止になったのかもしれません。
安全・安心(さらに安全・安心な空港へ)
フィンガー建て替えにより耐震性を強化
全館の改修により防火性・避難性を強化
災害の時に空港が使い物にならなければ復旧も遅れますし、これは不測の事態を考えるとありがたいですし、当然の対応ですね
当初計画から追加になっている改修計画
2018年5月現在伊丹空港公式ホームページには以下の計画が掲載されています。
上記で述べた計画に含まれていないものとしては
制限エリア内
ウォークスルー型商業エリアオープン
20年夏に新設する回遊型の商業施設は商品棚の中を蛇行するよう通路を配置するとのことです
保安検査場
スマートレーン本格運用
先ほど述べたスマートレーンの数を増やして本格運用する予定のようです
駐車場
北立体駐車場新築
2019年春には北立体駐車場を建て替え駐車場の収容台数を増やすようです。また事前予約サービスを始める予定となっています。繁忙期に旅行する時にはウロウロと空きスペースを探す必要がなり助かりますね!
事前予約サービスについては以下の記事をご参照下さい
最後に
2018年4月の中央エリアを中心としたリニューアル後も伊丹空港は着々と生まれ変わってきます!今後伊丹空港がどのように変わっていくか注目していきたいと思います