人気レストランをアメリカンエキスプレスで貸し切り、会員向けのディナー会を開催するというFine Dining 50というサービスで富小路やま岸に行く機会がありました。もはや一見さんは予約できないという京都の超予約困難店で旬の豪華な素材を活かした見た目も味も素晴らしい茶懐石をベースにした和食を頂いてきましたのでメニューをご紹介します。
目次
AMEX Fine Dining 50とは?
アメックスのサービスにFine Dining 50というものがあります
予約が取りにくかったり、紹介制で通常は予約を受け付けていない人気レストランをアメリカンエキスプレスで貸し切り、会員向けのディナー会を開催するというものです。アメックス・プラチナ、アメックス・センチュリオンカード会員のみが申し込むことができます。
2019年のファインダイニング50開催店を並べてみると錚々たるラインナップです
1月:紀茂登
2月:神楽坂 石かわ、カンテサンス、茶禅華、ete、御料理 宮坂
3月:TACUBO、鮨 なかむら、TSU・SHI・MI、日本橋 蛎殻町 すぎた、銀座 しのはら
4月:Florilege、木山、鮨さいとう、虎白、Celaravird
5月:緒方、鮨 とかみ、aca1°、L'Effervescence
6月:日本料理 太月、Fujiya 1935、くろぎ、東麻布 天本
7月:まき村、富小路 やま岸、鮨 尚充、新ばし 笹田、紀尾井町 三谷
8月:京料理 と村、日本料理 龍吟(日比谷)、日本料理 晴山
富小路やま岸とは?
京都の四条烏丸と河原町三条の間くらいになるでしょうか、富小路通り沿い錦市場近くにあるミシュラン1つ星の懐石料理屋さんです。
僕が知ることになったのはInstagramでの雲丹ドック!ウニがたっぷりと乗った手巻きはまさにインスタ映えします。SNSで人気が広がったお店は過度な演出頼りのキワモノもありますので正統派というよりは劇場型の和食店なのかなぁというのが実際に行ってみるまでの印象でした。しかし、後にご紹介するようにその印象は吹っ飛びました!
京都の町屋らしい狭い間口のお店です。
この日はアメリカンエキスプレスの貸切のため入り口には青く光るアメックスの照明が置かれています(写真はありませんが店内にもいくつか同様の照明がありました)
暖簾をくぐり、引き戸を引くと、石畳のアプローチが続きます(急かされて入ったので写真はありません…)。鰻の寝床とも言われる京都の町屋ですので比較的その距離は長いです。突き当りを引き返すように右に曲がると、引き戸があり、靴を脱ぎ、店内へ上がります。店内は落ち着いた雰囲気で檜の一枚板のカウンターです。
普段は10席ほどあるようですが、この日は椅子2つが後ろに置かれており8席となっていました。
すでにいくつかの品が目の前で最終の仕込みをされており気分が高まります
富小路やま岸のディナーメニューは?
じゅんさいの飯蒸し 由良の雲丹
「にえばな」を使った飯蒸しにじゅんさいと塩昆布がかけられています。「言われるまで絶対に開けないでください」と言われた器を開けると由良の雲丹が!
ジュンサイのプルプルしたゼリー状の食感が見た目も口の中も涼しげな夏らしい品です。途中から雲丹と一緒に頂くとまた違った食感となりウニのほんのりとした塩気が引き立ちます。
穴子素麺
「梶の葉」で覆われた器が出てきます
梶の葉を取ると、あなごの落としに3年寝かせたというそうめん、梅肉としそが添えられています。寝かせたと聞いたからなのか素麺は普段食べるものよりコシがあるように感じました。
八寸
祇園祭の長刀鉾に因んだ器です。こういう季節感ある器いいですね!
内容は
・鯛の昆布締めのちまき寿司
・甘海老(北海道)とアオリイカ(福井)の土佐酢ジュレかけ
・干し椎茸ときゅうりの胡麻和え
土佐酢の穏やかな酸味が甘海老とアオリイカの甘味を引き出します。こちらも夏らしい爽やかな品です。
厄除けの縁起物とされる粽をあけるときれいな鯛のお寿司が出てきます!笹の葉の香りと昆布で締めたの鯛の旨みが絶妙で、一見シンプルに見えるものまでここまで美味しいのかとこの辺りからぐっと期待が高まってきました
甘鯛酒蒸し、胡麻豆腐 十六島海苔(うっぷるいのり)
カツオと昆布だけの出汁だそうですが、この出汁が優しい旨味が存分に引き出されておりとっても美味しい!
天然しまあじ びわ鱒の漬け
見た目は至ってシンプルなお造りに思いましたが適度に脂がのったびわ鱒の漬け具合が素晴らしい
鱧の焼き霜
目の前で大将が1組分ずつ炙っていきます。こういうライブ感ある調理風景を見ることができるお店は個人的に好きです。
それをお弟子さんが切り分けてサーブされます。
身は半生というかほぼレアで皮目は香ばしく火の入れ具合が絶妙です。梅肉ソースで頂くとさっぱりと美味しいです。
鮑 賀茂茄子 肝ソース
続いて超特大サイズのアワビが登場してどよめきます。こちらも目の前で殻から外され目の前で焼き上げられます。
それにしてもすごいサイズ!
賀茂なすの上に絶妙に焼き上げられたアワビを乗せ、肝ソースがかけられます。肝ソースは濃厚でとても美味しいです。柔らかく炊かれた賀茂茄子も単なる添え物でなく一つの料理でありまた美味しいです。
雲丹ドッグ 由良の雲丹
箱ウニがカウンターに並べられてまたどよめきが起きます。この日は淡路島由良の雲丹です!
富小路やま岸の名物と言っていい雲丹ドックが目の前で作られていきます
箱ウニの半分を惜しげもなく乗せて…
大将自ら手渡しで!この瞬間は全員が写真を撮っておられました(笑)インスタでよく見る光景も自分の目の前で起きるとそれは格別な瞬間です(^^;)
それにしても壮観!ごはんの量よりウニの量の方が多いです!!これほどたくさんの雲丹を片手に乗せたことはあるでしょうか(笑)
口に入れると海苔のパリパリとした食感、磯の香りがやってきて、濃厚なウニがとろけて、口の中いっぱいに雲丹の旨みと甘みが広がっていきます。これはもうインスタ映えするキワモノでなく素晴らしい一品です!
鱧寿司
大将が鱧の焼き霜を調理している間、その後ろでお弟子さんが鱧を炭火で焼いておられました。
このタイミングで鱧寿司となり登場です
海苔に挟んで提供されます。女性は大将自ら、男性はお弟子さんが手渡ししてくださいます。
山椒に木の芽も効いていて美味しいです!
能登のモズクの酢の物 ずいき 一夜干し鮎
モズクの酢の物、ずいきで鮎をさっぱりと頂けます。蛸の玉子の食感も面白いです。
太刀魚 鷹峯とうがらし
太刀魚の火入れが素晴らしいです!こんなにフワフワの太刀魚を食べたことがなく、この日私の中で一番印象に残った品となりました。
釜炊き土鍋ご飯
ずっとカウンター後ろの竈で炊かれていたご飯が締めに登場です
まずは「にえばな」を頂きます
ごはんの友は3種類
しらす 明太子 えのきの佃煮
静原の平飼い有精卵もあります
お代わりは卵黄のみのたまごかけ御飯をお願いします
黒糖餅
水物は黒糖餅です。
プルンプルンでほどよい甘味で美味しいです
抹茶
最後は珍しく抹茶で締めです
旬の豪華な素材がこれでもかと登場してきます。雲丹ドックや鱧寿司が出てきてそろそろ終わりかと思いきや、さらに焼物が出てくるという贅沢さ!先ほど申しあげたようにInstagramでも人気のお店であり、京都の和食店としてはちょっと正統派ではないのではないかと思っておりました。しかし、季節感を感じられるとても繊細なお料理で味だけでなく見た目も美しく素晴らしいです。そういった京都らしい正統派でありながら、時にはダイナミックな調理で素材の良さをシンプルに活かした品も出てくる意外感というか緩急ある料理の流れにも引き込まれました。そして京都らしくなく品数がとても多い割にびっくりするお値段ではなくリーズナブルです。目の前でライブ感溢れる調理光景を眺めることができて、味だけでなく、目も耳も鼻も楽しめますし、大将の話術や接客も素晴らしく、人気の理由を身をもって体験してきました。
再訪したいところですが来年まで予約はいっぱい、しかも噂では一見さんの予約はもう不可能とのことです…大将も「来年までもういっぱいなんですわ。またアメックスで予約してください」とおっしゃっておられました。またこのようなイベントを狙うか、どなたか心優しい方のお誘いを待つしかなさそうです…